十一面観音に魅了される寺「海龍王寺」旅行・留学・渡海安全祈願に!

奈良市内の住宅地にある歴史あるお寺、海龍王寺に参拝しました。
山門の右隣にはとても大きくて目を引く絵馬が!龍と航海のイラストですね。

数十年前は「廃寺」と称される荒廃したお寺だった

実は、ここ海龍王寺は昭和20年代頃まで「廃寺」となっていたそうですが、前住職さんが復興されたそうです。
公式ホームページによると、本堂に安置された四国八十八ヶ所のすべての御本尊を作成されたのだとか。海龍王寺復興の思いを一体一体に刻んだというその思い、お寺を大切にする思いと弘法大師への信仰に心打たれました。

表門から続く参道の両脇にある築地塀は一見今にも崩れそうにも見えますが、奈良時代から続く古い歴史が感じられて個人的にはとても素敵に感じました。趣があります。

表門から見える参道。生い茂る木々が美しい
駐車場は表門の向かって右手に
駐車場入口には甘い香りのジャスミンの花が~♪
満開でした!

駐車場を出てお寺の表門に歩いて行くと、なんとも言えない甘い良い香りが漂っています。
見ると満開に咲き誇ったジャスミンが♪このタイミングに参拝できてとってもラッキーでした!

和銅3年(710)の平城遷都の際、藤原不比等は土師(はじ)氏から土地を譲り受け、邸宅を構えた際、北東隅にあった寺院は壊さずに残しました。この寺院が海龍王寺の前身です。
不比等の没後、娘の光明皇后が相続し、邸宅は皇后宮となります。皇后は遣唐留学僧・玄昉(げんぼう)が仏法をたずさえ無事に帰国することを願い、寺院の伽藍を整備しました。
天平7年(734)に玄昉が帰国すると、聖武天皇・光明皇后は最新の仏教や鎮護国家の基礎となる仏教政策を学んだ玄昉を重用し、内裏に近いこの寺院の住持に任じます。
玄昉が唐からの帰路、暴風雨に遭遇するも『海龍王経』を唱え無事に帰国を果したことにちなんで、寺号が海龍王寺と定められました。
(※公式ホームページより)

https://kairyuouji.jp/
「海龍王寺」って素敵な名前ですよね
こんな所にもジャスミンが
表門をくぐり、参道へ

海龍王寺はユキヤナギが有名

境内入り口です。春には桜と雪柳が咲き誇り、「大和一の雪柳」と言われるそう。
今は花の時期は終わり、緑がいきいきとしていました。

ご本尊の十一面観音様

開いた門に貼られていました。モノクロでとってもおしゃれなポスターでした。一枚ほしかったなぁ
こちらの門をくぐると左手に受付があり、拝観料をお支払いします。御朱印もこちらで拝受できます。

手水の龍神様
手水の隣にはお地蔵様
緑に覆われたお堂

受付を過ぎると、生い茂った緑の中を歩きます。途中、ツツジの花の近くに蜂が飛んでいたりとあちこちに虫もいますので、虫嫌いな方は少し苦手かもしれませんが自然のままの姿が好印象。植物がのびのび、いきいきしています。

特別拝観の時期は美しい十一面観音に会える

本堂

緑の中を少し進むと開けた場所に出ました。
サーっと優しく風が吹き、大きな木々が揺れています。鳥の鳴き声だけが聞こえる静けさに、住宅街の中にいるのを忘れてしまいます。とっても癒やされる明るい空間でした。

参拝したときはちょうど特別拝観の時期だったようで、秘仏の十一面観音様を拝観することができました
光明皇后が自ら刻まれた十一面観音像をもとに、鎌倉時代に慶派の仏師により造立されたというそのお姿は本当に美しく、見とれてしまいます。
プロポーションの良さや右足を少し浮かせた様子、流れるように曲線を描くしなやかな腕など、いつまでも見ていられるような美しさ
保存状態の良さにも驚きます。
休日にはこの美しい観音様をひと目見ようと、観光客やツアー客で境内は混み合うようです。現在はコロナの影響もあり、この日は平日でもあったのでゆっくり参拝できました。

他にも文殊菩薩像や不動明王像、愛以前明王像、毘沙門天像なども安置されていました。小ぶりながらどれも美しいお姿。
また、お寺の名前の由来となっているのは、当時「四海安穏祈願法要」や遣唐使の渡海安全祈願をおこなっていたため。
現在でもこの伝統は受け継がれており、日本全国各地の海水を壇上に安置し、海龍王に「海の安穏と自然への感謝、渡海する方々の安全」を祈願されているそうです。

本堂入り口
本堂横には真っ赤に色づいた美しい春もみじが

国宝の五重小塔

五重塔を安置する西金堂
細部までとても細かい作りの五重塔

とても貴重な五重塔と西金堂。国宝です。
すぐ近くまで行って見ることができます。

東金堂跡

西金堂と向かい合う場所にあります。
創建当時は対をなす形で東金堂にも五重塔が収められていたそうです。

重要文化財の経蔵

叡尊(えいそん)により建立された経蔵。

別名「隅寺」の名を冠した「隅寺心経」

写経のお手本はなんと弘法大師筆と言われるもの。
実は、現在行われている写経のほぼ100%がこの隅寺心経を手本としており、写経発祥の寺院なのだそうです。般若心経写経の「本家・本元、原本」ということです。
西金堂の右手にある写経所や、郵送でも写経を行うことができます。

境内には大きく伸びた松の木も

境内を散策していると、小さなお堂がひっそりと点在していました。

自然のままに残されているような、奈良時代を感じられる空気感の海龍王寺。
爽やかな風が吹き、しずかでとても心安らぐ場所でした。

美しい観音様にはまた会いたくなるような不思議な魅力があり、「大和路秀麗 八十八面観音巡礼」の一つに選ばれるのも納得。
心静かに美しい仏様と対面できる素晴らしいお寺でした。

海龍王寺に近いおすすめの宿

奈良市内は観光客が多いため宿泊施設がとてもたくさんあります。
今回おすすめするのはとってもリーズナブルで驚くお宿。もちろんクオリティも素晴らしいです。
一部屋を5000~6000円で宿泊できる施設はなかなかありません。

レビューでは部屋が広く、お風呂の湯船も広いと大満足の声。駐車場がないため自家用車利用の際には周囲のパーキングを利用する必要があります。近鉄奈良駅から徒歩5分、東大寺のすぐ隣という素晴らしい立地。
セルフチェックインのシステムでフロントは無人。お部屋に浴衣などの部屋着はありません。
行き届いたサービスや美味しい食事、贅沢なステイを求める方には向きませんが、リーズナブルで気軽に宿泊できる清潔なお宿です。

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